イノシシ と ヒト

生き物エッセイ
イノシシの埴輪

西都市には、3世紀末から7世紀にかけて多数の古墳が築造されています。そんな縁もあり、宮崎県立西都原考古博物館があります。2021年10月より、国際交流展「イノシシと人間 ~身近な“野生”との交渉史~」が開催されています。

イノシシ科イノシシ属

学名は「Sus scrofa」で、イノシシ科イノシシ属に分類されます。古くからヒトにとって狩猟の対象となっていました。ヒトによって家畜化されたものが豚です。

1年半で性成熟し、寿命は野生下では10年以内です。

視力は0.1以下で、眼球が顔の側面にあり、立体視よりは広い視野を優先した構造になっています。

イノシシの剥製

イノシシと人間の歴史

イノシシとの付き合いは旧石器時代(200万~1万年前)に遡ります。インドネシアのスラウェシ島の洞窟から、4万5500年前に描かれたとされるイノシシの壁画があります。日本においても同じころから狩猟の対象となっていたと推測されています。

縄文時代(15000~2400年前)には、複数の貝塚などにてイノシシの頭蓋骨が発見されています。

古墳時代(3世紀中~6世紀)には、埴輪群像によって狩猟のシーンが表現されますが、その一つとしてイノシシが時々表現されています。

台湾でのイノシシ

台湾北部の新北(シンペイ)市に十三行遺跡があります。台湾の鉄器文化を伝えるこの遺跡からは、陶器、鉄器、墓など、様々な文物が出土しており、約1800年前から500年ほど前まで、ここに製鉄技術を持つ人々が住んでいたことが理解できる品々が出土する遺跡です。

この遺跡には、多数のイノシシ類をはじめとする獣骨が出土しています。タイヤル族は台湾の原住民の中でも2番目に多い85000人の人口を持つ集団です。その民芸品も出土しています。

タイヤル族の民芸品

イノシシの歯

イノシシはヒトと同じように雑食性です。前歯で土を掘り起こし食べ物を捕らえ、小臼歯で切り裂き、大臼歯でかみ砕き、飲み込みます。歯は、ヒトとは見た目の印象が大きくことなります。

歯は「キリンの歯の配列」にも記載しましたように、一般的に、切歯(incisors; I)、犬歯(canine; C)、前臼歯(premolars; P)、後臼歯(molars; M)の4種類に分類されます。

イノシシは I 3/3(上/下) C 1/1 P 4/4 M 3/3 と表現され、本数は 44本 です。犬歯がとても立派です。ときには下あごの第1前臼歯を欠くときもあります。

大きな犬歯が肉食を想像させます

帰り道のコスモス

西都原古墳群一帯では、10月下旬から11月に300万本のコスモスが彩ります。


曇り空でしたが、とてもキレイでした!

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