昨年(2021年)12月8日に、宮崎市フェニックス自然動物園からマサイキリンのコナツが、熊本市動植物園に行ってしまってから、なんとなく元気がでません。生き物の行動観察が好きな私は別の生き物の観察をしたくなりました。そんなときに以前夜中に私の布団に潜入し、毒を打ち込んだムカデを思い出しました。敵を知れば百戦危うからず、ですね。
節足動物とは
動物にはいくつかの分類方法があります。
多くの動物は胚葉が存在し、「内胚葉(消化管など)と外胚葉(皮膚、神経など)の二胚葉動物」と「内・外胚葉に加えて中胚葉(筋肉、心臓、血管など)が発達した三胚葉動物」です。二胚葉動物にはクラゲ、サンゴ、三胚葉動物にはムカデ~哺乳類までを含みます。
三胚葉動物には、口と肛門が分離していない(または近くに併存する)旧口動物と口を肛門が別々に存在する新口動物に分類されます。旧口動物は脱皮しない冠輪動物と脱皮する脱皮する脱皮動物に分類。そして脱皮動物の中で、足が生えているものを節足動物と分類します。
今回のテーマであるムカデやヤスデは節足動物に分類されます。
土壌生物とは
土壌で生きる土壌動物とは、「土壌環境に永続的あるいは一時的に生息し、そこで何らかの活動を行っている動物群」と定義され、蝉のような成虫のときに地上で一時的に活動するものは含まれますが、テントウムシのように「冬に一時的に土壌の中で生活するもの」は含みません。
小型、中型、大型、巨大と4段階に分類されます。
小型は体幅 0.1mm以下で、アメーバー、センチュウなど
中型は体幅2mm以下で、小型ミミズ、ダニ、トビムシなど
大型は体幅2mm以上で、ムカデ、ヤスデ、サソリ、クモなど
巨大はモグラ、ネズミなど
生息数はもちろん小型が一番多く、大型になるほど少なくなります。
土壌環境での進化
土壌の環境は、暗黒で、生息空間が狭く、湿度がほぼ100%で、温度変化が少ないというのが特徴です。
すなわち、土壌環境内での進化は小型化、扁平化、短足化、穴掘り力、眼の退化などが挙げられます。
ムカデは、足がしっかりと存在し、移動能力は昆虫としてはかなり高いことを考慮すると、土壌環境から地上環境に出てこようとしている集団の最先端に存在するのかもしれません。表面が固めで乾燥に強いことがその進化を表しています。
一方でヤスデは足はやや短めで、体表はやや柔らかく、ムカデよりも土壌環境を重視しているようです。
ムカデとヤスデの分類
ムカデは、節足動物門、ムカデ上網、ムカデ網に属し、地球上に3000種類以降が存在します。日本には数百種のようです。
ヤスデは、節足動物門、ヤスデ上網、ヤスデ網に属します。
ムカデとヤスデは、石や落ち葉を取り除くと姿を露わにする同じような生き物に感じられますが、ムカデは一般に捕食系でいろいろな昆虫、カエル、小さな哺乳類などなんでも食べます。クチバシで咬むと毒が注入され、咬んだ相手に大きなダメージを与えます。
一方でヤスデは落葉や腐植、そして土壌を食べます。踏むと臭いが強いことも有名です。
ムカデ対策
上記の特性を考慮したときのムカデ対策ですが、一番は室内にムカデを侵入させないことにつきます。網戸や通風孔の隙間などをムカデが侵入できない網で覆うことが大切です。また、ムカデの餌となるゴキブリや小さな虫を生息させないという要素も重要です。最後にムカデらしいものを感じたら、素肌では攻撃しないことです。静かに退散いただくか、殺するかになってしまいます。
参考
金子信博. 土壌生態学入門. 東海大学出版 2007年