宮崎市フェニックス自然動物園には、アジアゾウの「みどり」(メス、2000年10月9日生まれ)がいます。みどりは、タイのスリン県で生まれ、2005年7月23日に宮崎にやってきました。
アジアゾウ
アジアゾウは、長鼻目、ゾウ科、アジアゾウ属、アジアゾウ種に分類されます。インド北部から東南アジアに分布します。アフリカゾウに比較すると人間になつきやすいと言われています。
私自身が子供のころにタイに住んでいたころ(1980年ころ)に、「ゾウ祭り」を観に行きました。その中で、ゾウ1頭と人間数十人が綱引きをして、ゾウが勝ったことを覚えています。もしかすると「みどり」の両親がその中にいたかもと親しみを持っています。
「みどり」は、オスの「たいよう」と繁殖が期待されていましたが、残念ながら たいよう は2014年1月に死んでしまいました。
そんなこともあり、みどりは2018年7月11日から2019年9月18日まで神戸市立王子動物園に繁殖のために移動しました。結局妊娠はしませんでしたが、楽しい時間が過ごせたのではないかと思っています。
キリンにしても、オランウータンにしても、限られた動物園の中での繁殖はとても難しいようです。
書初め(2021年正月)
2021年1月2日 みどり の書初めの催しがありました。鼻で筆を持ち、「丑」という字を書きました!
横でガイドの方がいましたが、ゾウの鼻がとても器用なことに改めて驚きました。
ゾウの聴覚と大きな耳
ゾウは耳が大きいですが、聞こえる範囲は16~12000 Hzとされています。 ヒトはというと20~20000 Hzで、人間のほうが聞こえる範囲は一見広いです[Payne, 1986]。しかしながら、ゾウは低音をヒトよりも聞き取ることができます。
ゾウは、10 km先の仲間と重低音を利用してコミュニケーションをとります。森林では1000 Hzの音は100 m毎に15 dBずつ減衰しますが、30 Hz以下の低音はほとんど減衰しません [Payne, 1986]。そのためにゾウは遠くの仲間と連絡を取るために低音の聞き取りを重視して、高音はあまり重視していないのかもしれません。
そのためか、耳は重低音用に大きな耳となっています。もしかすると、大きな耳があるから、重低音の聞き取りに利点があったということなのかもしれません。鶏と卵の関係のようで、どちらが先かの結論は難しいです。
みどりのダンス、常同行動?
普段は穏やかで、人懐こい みどり ですが、時々激しいダンスのような動きをします。
でも、よく見るとこれは常同運動のようです。
常同運動の意味は厳密には特定できていませんが、ストレスによるのではないかと推測されています。ヒトにおけるチックのような意味合いの動きではないかと考えています。
寒い日本で、一頭で生きている「みどり」の心境は察するに余りあります・・・。
Ref
Payne KB et al. Infrasonic calls of the Asian elephant. Behavioral Ecology and Sociobiology 18, 297-301