百獣の王 ライオン

動物観察日記
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子供たちに「動物園で一番好きな動物は?」と質問すると「ライオン!」と答える子供が多いです。パンダ、ゾウキリンと並んで常に上位にランクインします。オスがたてがみを揺らしながら優雅に歩く姿は惚れ惚れします。

ライオンはヒョウ属

ライオンは哺乳綱食肉目ネコ科ヒョウ属に分類される食肉類です。種はライオン(Panthera leo)です。Pantheraはヒョウを意味します。現在の生息地はアフリカ大陸のサブサハラ(アフリカの内サハラ砂漠より南の地域)で、インドのインドライオンは絶滅が危惧されています。1万年前ころは世界に広く分布していましたが、徐々に生息地が狭くなってきました。

ネコ科で唯一オスとメスの見た目が明らかに異なる種です。性によって群れの中でこなす役割も異なります。例えば狩りを行うのは、厚く邪魔になりがちなたてがみがないメスです。でも、群れを守るのはオスの役割です。

ライオンのたてがみの濃さと長さ

ライオンのたてがみはオスの象徴ともいえます。このたてがみは強さや環境によって変化するようです。オスは敵を倒したり成熟期に入ると男性ホルモンであるテストステロンの分泌が増えます。テストステロンの分泌はヒトではハゲに直結しますが、ライオンでは濃い色のたてがみになり、メスからの受けも良くなります。たてがみの長さは、戦いに勝利した経験と相関し、これはオス同士の評価に影響します [West, 2002]。

ヒトにおいては、テストステロンが頭皮に存在する 5αリダクターゼという酵素によって、ジヒドロテストステロン(男性ホルモンの一種)に変換されます。ジヒドロテストステロンは、髪の成長に必要な毛乳頭細胞へと取り込まれ、髪の成長を妨げる脱毛因子「TGF-β」を出します。5αリダクターゼは、頭頂部と前髪の生え際に多く分布するために、前額部と頭頂部から頭髪が薄くなります [Hibino, 2004]。

フェニックス自然動物園のスタンとフーリー

宮崎市のフェニックス自然動物園には、オスのスタンとメスのフーリーがいます。ともに大分県の九州自然動物公園アフリカンサファリからやってきました。

看板には誕生日などが紹介されています。

ライオンは普段は、野生であってもゴロゴロしている時間が長いといいます。1日に合計14~16時間睡眠をとります。スタンとフーリーもゴロゴロしていることがほとんどです。うろうろと常同運動と思われる行動のときもありますが。

ぼんやりとこちらを眺めるスタン。なにを考えているのでしょうか?
望遠レンズを向けると、睨まれたような感じになりました。視線がちょっと怖い・・・

オスのスタンはときどき動物園中に響き渡る大きな唸り声をあげます。さすが百獣の王という貫禄です。

スタンの「遠吠え」です

ライオン、やっぱりかっこよいですね。

※ 2021年10月22日スタンは永眠しました。19歳でした。

文献

West P et al. Sexual selection, temperature, and the lion’s mane. Science 2002, 297(5585),1339-43
Hibino T et al. Role of TGF-beta2 in the human hair cycle. J Dermatol Sci. 2004 Jun;35(1):9-18

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